相続税の基礎控除と特例について確認します
相続税に関しては、非課税となる基礎控除額や特例措置等が設けられています。参考に基本的な知識について記載しますが、詳細については税理士さん等に確認されることをおすすめします
基礎控除額について
相続税には基礎控除が認められます
相続が発生した場合は相続税を納める義務が生じますが、基礎控除額というものが設けられており、これを超えた場合に相続税がかかります
基礎控除額は次のとおりです
- 基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
- 法定相続人の数はあくまで当初の人数であり、遺言書によって、あるいは相続放棄や欠格等によって実際の相続人が欠けた場合も、定められている法定相続人の人数で決められます
相続税の速算表
基礎控除額や特例措置を除いた、相続財産にかかる相続税は次の8段階になります
課税価格・税率・(控除額)
- 1000万円万円以下・10%・(控除額なし)
- 3000万円以下・15%・(50万円)
- 5000万円以下・20%・(200万円)
- 1億円以下・30%・(700万円)
- 2億円以下・40%。(1700万円)
- 3億円以下・45%・(2700万円)
- 6億円以下・50%・(4200万円)
- 6億円超・55%・(7200万円)
相続税の負担が軽くなる特例措置
相続税の負担が軽くなる措置として、次の特例が設けられています
- 配偶者税額軽減措置の特例として、配偶者については1億6000万円と法定相続分の、どちらか多い金額まで相続税がかかりません
- 小規模宅地等の特例として、個人が自宅や店舗などに使用していた土地は、一定の面積まで課税額が減額となります
- 贈与税額控除の特例として、相続開始前3年以内の生前贈与については、その際に収めた贈与税は相続税から控除されます
- 未成年者控除の特例として、一定の金額を相続税から差し引くことができます。差し引くことができない場合には、扶養義務者の相続税から差し引くことができます
- 障害者控除の特例として、一定の金額を相続税から差し引くことができます。差し引くことができない場合には、扶養義務者の相続税から差し引くことができます
- 相次相続控除の特例として、10年以内に複数回の相続があった場合には、1回目にかかった相続税の一部を、2回目以降の相続税から差し引くことができます
小規模宅地等の特例について
小規模宅地等の特例については次のとおりとなります
- 原則10ヶ月以内に申請を行ないます
- 故人の自宅敷地のうち、330㎡までの部分を80%減額とできます
- 故人が貸し付け用途以外の個人事業や商売に使用していた土地のうち、400㎡までの部分を80%減額とできます
- 故人が有償で貸し付けていた土地のうち200㎡までの部分を50%減額とできます
- 特例が使える者は配偶者・6親等内の血族・3親等内の姻族である親族に限られます
- 特例が使える者のうち配偶者以外の者については、同居している親族であり、住居として使用する場合は申告期限まで継続して土地を所有し、家屋に住んでいることが要件となります
- 特例が使える者のうち、配偶者および同居している親族にあたる法定相続人がいない場合には、申告期限まで継続して土地を所有することが要件になりますが、家屋に住んでいることが要件とはなりません
- 相続税の申告書を税務署に提出する必要があります
- 申告期限までに、遺産分割協議書を作成します
- 遺産分割協議が期限内に整わなかった場合は相続税を収めます。3年以内の分割見込書を提出した上で、3年以内に協議が整った場合は、請求にもとづいて特例分を超えた額を返してもらえます
相続税の負担が重くなる特例措置
次の場合は相続税が2割加算されます
- 内縁の妻など、法定相続人以外の者への財産分けは2割加算となります
- 法定相続人であっても、兄弟姉妹の場合は2割加算となります
- 養子が法定相続人となれる人数は、被相続人に実子がいる場合は1人、いない場合は2人ですので、それ以外の者は2割加算となります
- 代襲相続の場合は2割加算されません
- 孫を養子とした場合は2割加算の対象となります